熱源の小さいベア・チップに大きなヒートシンクを設置する場合、以下のような問題があります。
このような状況に対し次のポイントを検討することが必要です。
以下のような固定方法があり、それぞれ次のような特長があります。
固定方法 | 適 性 | 備 考 | |
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熱伝導性接着剤 | 不適性 | 接触部の面積が小さい為、十分な接着力が得られない場合があります。 ※弊社では扱っておりません。 |
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熱伝導性両面接着テープ | 不適性 | 接触部の面積が小さい為、十分な接着力が得られない場合があります。 |
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樹脂カバータイプのクリップ | 不適性 | 取付時等、ハンダに悪影響を与える可能性があります。構造上ヒートシンクのサイズに制限があります。 ※弊社では扱っておりません。 |
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Zクリップ | 適性 | 熱源中心に対し適切に荷重が掛けやすいです。 |
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QSZクリップ | 適性 | 熱源中心に対し適切に荷重が掛けやすいです。 |
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クイックセット | 適性 | ねじりバネとアンカーピンの組み合せによる荷重のコントロールが容易で熱源に対して安定した固定が可能です。 |
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プッシュピン | 適性 | スプリングによる荷重のコントロールが容易で熱源に対して安定した固定が可能です。 |
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段付きネジ | 適性 | スプリングによる荷重のコントロールが容易で熱源に対して安定した固定が可能です。 |
非常に小さな熱源にヒートシンクを設置する場合、傾いた状態で固定しようとすると 熱源に過度な負担が掛かり破損したり、発熱面との接触が不十分な状態で固定されてしまう恐れがあります。ヒートシンクにスポンジパッドを貼付けることにより、ヒートシンクの傾きを抑制することが可能です。
ヒートシンクと発熱体の間にサーマルインターフェース(TIM)を挟みますが、接触面積が小さい場合、TIMによる熱性能への影響度合いは大きくなります。
製 品 | サイズ | 入力 | 熱抵抗値 | 温度上昇 |
---|---|---|---|---|
TPCM585 | 35x35mm | 10W | 0.01℃/W | 0.10℃ |
10x10mm | 10W | 0.13℃/W | 1.30℃ | |
TPCM905C | 35x35mm | 10W | 0.03℃/W | 0.30℃ |
10x10mm | 10W | 0.32℃/W | 3.20℃ |
* 69Kpa(10psi) 時
このような場合、出来る限り熱抵抗値の低い高性能なTIMがより効果的です。
またフェイズチェンジおよびギャップフィラーは適切な荷重を掛けて使用しないと性能を発揮しません。荷重の違いによる性能差は以下のようになります。
製 品 | 荷 重 | 熱抵抗値 |
---|---|---|
TPCM585 | 69Kpa(10psi) | 0.020℃(-in2)/W |
345Kpa(50psi) | 0.016℃(-in2)/W | |
TPCM905C | 69Kpa(10psi) | 0.048℃(-in2)/W |
345Kpa(50psi) | 0.029℃(-in2)/W |
備考:(-in2)/W = 25.4x25.4mm当りの熱抵抗値
Zクリップやプッシュピン、段付きネジなど、荷重のコントロールができる固定方法を選択することがポイントとなります。
同じ発熱量であっても、小さな接触面積の発熱体を冷却することは、より困難になります。これは、ヒートシンクとの接触面積が小さいため、ヒートシンクベース面全体に熱が広がり難く、ベースサイズを拡大しても効果が薄くなるからです。